2011年2月23日水曜日

【ご案内】平倉圭『ゴダール的方法』刊行記念イヴェント、第3弾

【3月17日御報告】以下に告知しておりましたイヴェントは、延期となりました。主催者のphotogaphers' galleryのご案内をご参看ください。お申し込み済みの皆様宛にはすでに主催者より同様のご連絡が昨夜から今日にかけて届いているかと存じます。

第1弾は「ゴダールからドゥルーズへ、ふたたび」。第2弾は「『ゴダール的方法』からゴダールへ、ふたたび」。そして、第3弾は「ゴダールからスミッソンへ、photographers' galleryにてふたたび」。というわけで、以下のイヴェントを開催いたします。

──────────



『ゴダール的方法』(インスクリプト)刊行記念レクチャー
平倉圭
「形式の摩滅──ロバート・スミッソン」


2011年3月21日(月・祝)16:00〜→延期となりました
photographers' gallry

料金:1,000円 定員25名
※要予約(ギャラリーのウェブかお電話03-5368-2631で)

[講師から]
芸術作品を「理解」するとは、作品からパターンを抽出することだ。だがそのパターンは、抽出元である作品の物質性と二重化されていて、物質の細かさ・複雑さのほうへとたえず引きずられ、崩れ落ち続けている。パターンを抽出する私の心(mind)もまた、物質のほうへと砕けている。芸術経験につきまとう、この二重性について考えること。パターンを認識する私の摩滅について考えること。
物質は思考するのか? それがロバート・スミッソン(1938-1973)の問いである。泥は思考する。石は思考する。それはアニミズムの類では決してない。物質は、その根底において言語である。だがそれはいかなる意味で言語なのか。石をドローイングしたり、写真に撮ったり、集めたりすることは、その言語とどういう関わりを持つ行為なのか。スミッソンのテクスト、写真、彫刻、ドローイング、そして映画を横断的に分解しながら考えていく。(平倉圭)

[企画者から]
書物『ゴダール的方法』の前身をなした連続講座「ゴダール・システム」から4年。映像/音に徹底的に内在すること、そしてそのとき抽出される「パターン」をパフォーマティヴに呈示すること──これが『ゴダール的方法』の「方法」です。その本の冒頭ちかくの註に、ある美術家が登場しています。ロバート・スミッソン(Robert Smithson)。今回のレクチャーでは、スミッソンの「パターン」を「マテリアル」へ向けて解体します。その試みはじつのところ、『ゴダール的方法』の論理をみずから逆撫でするものとして、逆走的展開を見せることになるはずです。ゴダールからスミッソンへ、photographers' galleryにてふたたび。ご期待ください。(編集者・中村大吾)

[書籍紹介]
平倉圭『ゴダール的方法』(インスクリプト、2010年)
ハイ・レゾリューション・ゴダール! その音‐映像を0.1秒オーダーで注視せよ。高解像度の分析によって浮かび上がる未聞のJLG的映画原理。映画史=20世紀史を一身に引き受けようとするゴダールは、映画に何を賭しているのか? そして21世紀のゴダールはどこへ向かうのか? 映画論の「方法」を更新する新鋭の初単著。ゴダールとともに、知覚経験の臨界へ!(帯文より)

[略歴]
平倉圭 HIRAKURA Kei
1977年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。専門は芸術論、知覚論。現在、横浜国立大学講師。著書に『ゴダール的方法』(インスクリプト、2010年)。共著に『美術史の7つの顔』(未來社、2005年)、『ディスポジション──配置としての世界』(現代企画室、2008年)。論文に「識別不可能性の〈大地〉──ジル・ドゥルーズ『シネマ2*時間イメージ』」(『思想』999号、2007年)ほか。今後の仕事として、“広い意味での「ダンス」の研究”に専心予定。http://hirakurakei.com/

http://www.pg-web.net/documents/event/2011/hirakura/index.html

──────────


2007年の「ゴダール・システム」もその冒頭で平倉さんが宣言していたように、今回のレクチャーもスミッソンのことを知らない人でも大丈夫、なはず(ですので、スミッソンがどういう人なのかの説明はここでは省きます。上にひとつだけ映像作品を載せましたが)。ぴんと来られた方はぜひご参加ください。

「『ゴダール的方法』の論理をみずから逆撫で」という企画者の文言は、「物質は、その根底において言語である」という講師の言葉に呼応しています。ゴダール論ではありえなかった命題を試行してみるのが今回のスミッソン論です。というわけで、『ゴダール的方法』未読の方も歓迎いたします。(むろん本のほうもお読みいただきたいわけではありますが。ちなみに、『ゴダール的方法』とphotographers' galleryとのかかわりについては、こちらに拙文を寄せております。)

なお、平倉さんによるロバート・スミッソン論は、09年8月に京都で、10年1月に名古屋で口頭発表されていますが、現時点で活字化されたものはありません。今回はだいぶヴァージョンアップしている由。以下で比較的くわしく紹介されています。四谷アート・ステュディウムの講義録です。あわせてご参看ください。「平倉圭の「映像ゼミ」理論と実践:2009年度講義録より」:http://artstudium.org/archives/2010/07/_2009_2.html

2011年2月8日火曜日

東京堂書店フリーペーパー『三階』創刊 feat.『ゴダール的方法』

神田神保町の東京堂書店の3階(人文書・芸術書など)がフリーペーパーを創刊しました。その名も『三階』。以前は畠中さんがやはりフリーペーパーを制作されていましたが、今度、同書店3階ご勤務の三浦さんが創刊された『三階』はうってかわってハードコアです。CDの紙ジャケのような袋に、A4変型ウラオモテ1枚。


創刊号ではその三浦さんによる平倉圭『ゴダール的方法』書評が掲載。同書におけるドゥルーズ批判をウィリアム・ジェイムズへと延長する議論です(ジェイムズにかんしては、ジュンク堂トークセッションでもちらっと言及されています。ポッドキャスティングはこちら)。ちなみに、『ゴダール的方法』への初めての書評記事! ジャケット表紙は『アワーミュージック』コラージュ。

そして第2号では、その書評を受けて、三浦さんと大山載吉さんによる『ゴダール的方法』をめぐる往復書簡。次号(3号)に後篇が掲載されるそうですが、ここでは、ドゥルージアンである大山さんによる平倉著への応答がなされています。書簡中で言及された書籍の紹介も充実。「編集中記(新刊書籍のことなど)」という項では、中平卓馬『都市 風景 図鑑』(月曜社)、ボワ+クラウス『アンフォルム』(月曜社)、真島一郎編『二〇世紀〈アフリカ〉の個体形成』(平凡社。この本は凄い!)などが紹介されています。こちらのジャケ表紙は、リゾーム!(図版出典は、苅住昇『最新 樹木根系図説』。誠文堂新光社、84000円!!!?)

簡単に要約も引用もできない議論ですので、ぜひ実際に手にとってお読みいただきたく存じます。隔週発行を予定しているそうで、現在は第2号が配布中。既刊号のウェブへの転載なども現在は考えてらっしゃらないとのことです。

──────

おまけ。第2号登場の大山載吉さんは、『ドゥルーズ:生成変化のサブマリン』(白水社、2005年)の共著者。刊行されたばかりの宇野邦一・堀千晶・芳川泰久編『ドゥルーズ 千の文学』(せりか書房、2011年1月)にも寄稿されています(「フィッツジェラルド」「ペギー」「ラウリー」の項。版元のウェブサイトには未掲載ですが、全体の目次はBK1のこちらで見られます)。この本も『ゴダール的方法』も装幀は間村俊一さん。というわけで、並べてみました。

平倉圭×國分功一郎×千葉雅也「ドゥルーズ・映画・ゴダール」、ポッドキャスティング配信開始

2011年1月22日にジュンク堂書店新宿店にて開催された、平倉圭『ゴダール的方法』刊行記念トークセッション、平倉圭×國分功一郎×千葉雅也「ドゥルーズ・映画・ゴダール」(詳細はこちら)が、同書店のウェブサイトでポッドキャスティング配信されています。2時間以上の議論です。前・中・後篇に分かれています。ぜひお聞きください。

*國分さんは当日レジュメを配布されましたが、そのPDFもupされています。あわせてご参照ください。

*担当書店員阪根さんによる報告「《感想文:ヒデ×サンデル×歌舞伎町ナンバーワン》」:
http://d.hatena.ne.jp/m-sakane/20110122

──────

前篇:38分41秒。担当編集者による前振りと、國分さんによるコメント。
http://junkudo.seesaa.net/article/184735835.html

(右から、ヒデ、サンデル、歌舞伎町ナンバーワン)
(右から、平倉氏、國分氏、千葉氏)



中篇:47分23秒。千葉さんによるコメント、平倉さんの応答、ディスカッション前半。
http://junkudo.seesaa.net/article/184735970.html



後篇:42分8秒。ディスカッション後半、質疑応答、「予告篇」。
http://junkudo.seesaa.net/article/184841591.html


──────

後篇の36分15秒すぎからは、以下のイヴェントについて、平倉・國分各氏が「予告篇」を喋っています。

*平倉圭『ゴダール的方法』刊行記念イヴェント第2弾、平倉圭レクチャー「ゴダールを解体する──『ゴダール・ソシアリスム』分析から出発して」2011年2月27日(日)18:00〜20:00(開場17:30〜)@青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山。【予約受付中】
http://www.aoyamabc.co.jp/event/2011/jlg/

*國分功一郎『スピノザの方法』(みすず書房)刊行記念、國分功一郎×千葉雅也トークセッション「スピノザの哲学原理」2011年2月19日(土)18:30〜(開場18:00)@ジュンク堂書店新宿店・8Fカフェ。【満員御礼・申込受付終了】
http://www.junkudo.co.jp/tenpo/evtalk-shinjyuku.html#20110219shinjuku

──────

なお、ジュンク堂書店新宿店でのブックフェア「平倉圭=選 視‐聴覚的思考を更新するための50冊+α──『ゴダール的方法』のコンテクスト」は2月末まで延長されています。同じ内容のフェアが青山ブックセンター本店でも開催中です。ぜひお立ち寄りください。

2011年2月2日水曜日

管啓次郎著『斜線の旅』、第62回読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞!

管啓次郎著『斜線の旅』(インスクリプト、2009年12月)が、第62回読売文学賞(随筆・紀行賞)を受賞いたしました。

松浦寿輝さんの選評(「読売新聞」2011年2月1日付掲載)から:

(…)偶然の出会い、予期せぬ道草、記憶の不意の甦り、湧出する詩想……豊かな小事件に満たされた、長短様々な旅のゆるやかな時間。それを記述する管さんのしなやかな散文は、健康な呼吸の拍を刻みつつ、軽いフットワークで絶えず移動し、浮遊し、越境しつづける。この快い運動感がすばらしい。「斜線の旅」とは、縦横の格子状に切り分けられた世界の秩序をいったんご破算にして、不意に斜めに逸脱することだ。(…)旅の名に値する旅とは、実はことごとくそうした体験のことではないのか。(…)ポリネシアの島嶼群への旅を繰り返す管さんの魂と身体は、この「太平洋の大三角形」を比類のない「平滑空間」として体験しているのだ。紀行文学の一傑作がここにある。




受賞を受けての管さんの言葉。ブログ「Mon pays natal」から:

(…)とりわけうれしいのは、この部門の昨年の受賞作が堀江敏幸さんの『正弦曲線』だということ、そして今年の「研究・翻訳賞」が野崎歓さんの『異邦の香り』だということ。二人の友人たちと、こんなかたちでそれぞれの仕事の一区切りを祝うことができるのは、ほんとうに幸運なことです。
そして二人の名前を出すと、もう一人の親友のことを思い出さずにはいられません。一昨年の夏に亡くなった編集者の津田新吾。彼のお別れの会で彼を送り出す言葉を述べたのが、野崎さん、堀江さん、ぼくでした。送り出した、たしかに、でもどこにむかって? その後もぼくらはそれぞれがそれぞれの本の島に住み、島々は勝手に可視不可視の火山活動を続けています。その島と島のあいだの海のどこかで、ジュゴンのように、ジュゴンとして、彼はいまもぷかぷかと浮かびまどろんでいるような気がします。
本は物として存在するけれど、その本質は想像的なもの。そして想像の世界には、時間の隔てもなく空間の分離もありません。だったらジュゴンのためにわざと熱帯の海岸に本を置き忘れてくるのも、意味のないことではないでしょう。ジュゴンは永遠にまどろみながら、砂の上の本を、文字ではなく気配で読みとってくれるかもしれません。餌だと思って食べてしまうのでなければ!

http://monpaysnatal.blogspot.com/2011/02/blog-post_01.html

その他の部門の受賞作についてはこちら:
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20110202-OYT8T00331.htm

***



受賞に当たって新しい帯を作成いたしました(右端)。従前の帯とは用紙も変えています。

【最新刊】ピーター・ヒース『評伝オーロビンド』

ピーター・ヒース著
柄谷凜訳
『評伝オーロビンド』

革命の方法としてのヨーガ
「われわれの時代を生きたもっとも優れた人物」(ネルー)

中村屋のボースが敬愛し、岡倉天心、大川周明らとも深いつながりを持った哲人思想家にして、ガーンディー、タゴールらと並ぶ二十世紀インドの国民的英雄。英領インドの桎梏を背負いつつ、政治と霊性を一身に統合し、ネーションを超える普遍思想を築いた巨人の全体像を、厖大な一次資料とフィールドワークを駆使して明快に描く、決定版オーロビンド入門。

「世界の希望は、西洋との絶えざる接触のもとに、東洋に、古来のスピリチュアルな実用主義と生命についての広大で深遠なヴィジョンと力を呼び覚ますことに、そして欧米にアジアの光を洪水のように流れこませることにある。これは、発展も活力もなく、融通の利かないこれまでのやり方でではなく、心を沸き立たせるような動的かつ効果的な新しいやり方でなされなければならない。」(オーロビンド、1916年の書簡より)


2011年1月25日発行

四六判上製288頁
装幀:間村俊一
写真:港千尋
定価:本体3,000円+税
ISBN978-4-900997-26-4

▼目次

はじめに

第I部
第一章 インド人という出自
第二章 イギリスでの教育
第三章 仕事と家庭生活
第四章 詩人にして政治家
第五章 バンデ・マータラム
第六章 君主への宣戦布告
第七章 カルマ・ヨーギン

第II部
第八章 ポンディシェリー時代初期
第九章 ブラフマンとヴァースデーヴァ
第十章 スピリチュアルな冒険
第十一章 経験の哲学
第十二章 ヨーガの詩人
第十三章 実験室での作業
第十四章 晩年

エピローグ

訳者解説/出典註/文献目録/索引

▼著者/訳者

Peter Heehs(ピーター・ヒース)
アメリカ東海岸出身の歴史学者。オーロビンド関係の研究書でよく知られる。1971年よりインド、ポンディシェリーのシュリ・オーロビンド・アーシュラムに居住。シュリ・オーロビンド・アーシュラム・アーカイブスの創立メンバーの一人。Complete Works of Sri Aurobindo (Sri Aurobindo Ashram Trust) 編集委員。
著書に、India's Freedom Struggle, 1857-1947 (Oxford University Press India, 1988; paperback, Oxford University Press, 1996), Sri Aurobindo: A Brief Biography (Oxford University Press India, 1989, 本書), The Bomb in Bengal: The Rise of Revolutionary Terrorism in India 1900-1910 (Oxford University Press India, 1994), Nationalism, Terrorism, Communalism: Essays in Modern Indian History (Oxford University Press India, 1998), The Lives of Sri Aurobindo (Columbia Universiy Press, 2008) 他。編著に、The Essential Writings of Sri Aurobindo (Oxford University Press India, 1997; paperback, Oxford University Press) などがある。エッセイスト、詩人としても活動している。

柄谷凜(Karatani, Lynne)
1972年生まれ。インド、デリー大学哲学科中退。ケンブリッジ大学神学・宗教学科卒業。訳書に、ニコラス・デ・ラーンジュ『ユダヤ教入門』(岩波書店、2002)、『ユダヤ教とはなにか』(青土社、2004)ほか。