2010年6月17日木曜日

【6月25日発売】ジュネ『シャティーラの四時間』

最新刊のご紹介です。

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シャティーラの四時間

ジャン・ジュネ=著
鵜飼哲・梅木達郎=訳

死を狩り出し、
死を追いつめ、

死と子供のように戯れる、ジャン・ジュネ

パレスチナ難民キャンプ虐殺の現場で、ジュネは何を見たか

1982年9月、西ベイルートの難民キャンプで起きた凄惨なパレスチナ人虐殺。本書は、最初のヨーロッパ人として現場へ足を踏みいれたジャン・ジュネによる事件告発のルポルタージュであると同時に、パレスチナの戦士たちとの交わりを通して幻視された美と愛と死が屹立する豊饒な文学作品でもある。事件をめぐって証言するジュネへのインタヴュー、鵜飼哲の論考、68年パレスチナ国民憲章全訳、ほか資料併録。

2010年6月25日発売

四六判上製224頁
装幀:間村俊一
写真:港千尋
定価:本体2000円+税
ISBN978-4-900997-29-5

[目次]
*シャティーラの四時間(ジャン・ジュネ|鵜飼哲訳)
*ジャン・ジュネとの対話(ジャン・ジュネ+リュディガー・ヴィッシェンバルト+ライラ・シャヒード・バラーダ|梅木達郎訳)
*〈ユートピア〉としてのパレスチナ——ジャン・ジュネとアラブ世界の革命(鵜飼哲)
*生きているテクスト——表現・論争・出来事(鵜飼哲)
*[資料]パレスチナ国民憲章(早尾貴紀訳)/地図/パレスチナ関連年表

[本書より、「シャティーラの四時間」冒頭を引用]
誰も、何も、いかなる物語のテクニックも、フェダイーンがヨルダンのジャラシュとアジュルーン山中で過ごした六カ月が、わけても最初の数週間がどのようなものだったか語ることはないだろう。数々の出来事を報告書にまとめること、年表を作成しPLOの成功と誤りを数え上げること、そういうことならした人々がある。季節の空気、空の、土の、樹々の色、それも語れぬわけではないだろう。だが、あの軽やかな酩酊、埃の上をゆく足取り、眼の輝き、フェダイーンどうしの間ばかりでなく彼らと上官の間にさえ存在した関係の透明さを、感じさせることなど決してできはしないだろう。すべてが、皆が、樹々の下でうち震え、笑いさざめき、皆にとってこんなにも新しい生に驚嘆し、そしてこの震えのなかに、奇妙にもじっと動かぬ何ものかが、様子を窺いつつ、保留され、庇護されていた、何も言わずに祈り続ける人のように。(7—8頁)